Friday, October 10, 2014

ラスベガス・モーター・スピードウェイ Onsite Report

今週末、ラスベガス・モーター・スピードウェイでRed Bull Air Race World Championship(レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ)の第7戦が開催される。今回のレースはパイロットたちにとって、オーストリアで行われるシーズン閉幕戦の前にランキング順位をアップさせる最後のチャンスだ。7戦が近づく中、 いつもにも増して自信に満ちあふれる様子の日本の室屋に迫った。



「今日、自分に100万ドル賭けて、日曜のレースで優勝したら、1200万ドルを手に帰国できることになる!」

室屋はそんなジョークを飛ばした。今週末ラスベガスで開催されるRed Bull Air Race World Championship7戦を控え、パイロットたちはレースの準備に余念がない。そんな中、室屋は平常心そのもののように見える。ラスベガスといえば米国随一のギャンブルの都、人々はカジノで勝算をはかることに慣れている。それに従えば、室屋がレースで勝利する勝算は12分の1。とはいえ、現実にはそんな賭けに参加していない室屋。ハンガーでリラックスしながら最初のトレーニングランに向けて意識を集中させている。その中で 今シーズンを通じ自信が培われ、新たなレベルに到達できたことを確信したと言う。

最新のワールドチャンピオンシップ順位で室屋は 8位につけている。決して悪くはないが、3位でフィニッシュし初表彰台入りを果たした春のロヴィニ大会(クロアチア)をはじめとする、今年の室屋の著しい成長を本当に反映しているとは言えない。そして世界最速のモータースポーツ・シリーズの2014年シーズンもあと残すところ2大会となった現在、福島出身の室屋はラスベガス・モーター・スピードウェイに週末のレース用に設けられたトラックを次のように分析している。 


「先月のテキサスのトラックと比べてシンプルなトラックだと言えるでしょう。でも、ここの空気はもっと乾燥しています。そして標高も低いので、空気は少々密度が濃くなります。よりレースに向いていると言えますね。」高速低空のアクションが連続するレースで、いつもと同様持てる力をすべて出し切るつもりの室屋、もちろん目標は再度の表彰台入りである。

さらに、室屋が自信を深めるためにもう一役買っているのが、母国日本の熱狂的なファン層だ。室屋は次のようにコメントした。「このスポーツに興味を持つ人がどんどん増えています。もし将来日本でレースが行われることがあれば、ファンの数はきっと爆発的に増えるでしょう。」

・・・

レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ第7戦、米国・ラスベガス戦は、日本時間の10月13日(月祝)午前5時から、レッドブル・エアレース公式ウェブサイトの他、Red Bull TVなどでライブ中継される予定。是非お見逃しなく!


Photo by TARO IMAHARA/TIPP
Photo by Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool




Friday, August 15, 2014

RBAR Ascot Pre Training Report/アスコット戦 事前練習

~アスコットのきついターンは室屋に優位に働くか~

レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ第5戦が、いよいよ今週末、イギリスの有名なアスコット競馬場で開催される。参戦するパイロットたちは、今シーズン初めて陸上で行われる今回の大会を心待ちにしている。

バルト海で開かれた第4戦では第1ラウンド突破ならず涙を呑んだ室屋。今回の会場の特徴を生かし、シーズン開幕後の好調を取り戻そうと意欲に燃えている。

4月にクロアチアのロヴィニ大会で見事3位に入賞し、念願のRed Bull Air Race初表彰台を祝った室屋。その結果に満足せず、さらに上をねらったものの、続くマレーシア、ポーランドの大会では思うような成績が残せなかった。

今週末、シーズン後半のスタートにもなるイギリスのアスコット大会で、室屋は心機一転、巻き返しに出るつもりだ。

3週間前にバルト海上で行われたグディニア大会(ポーランド)は、強風の中で行われ、室屋はエアゲート通過時に高度制限を超えて飛ぶという些細なミスを犯した。それが原因でタイムペナルティを課され、ワールドチャンピオンシップ総合ランキングでも8位に後退した。

しかし、冷静沈着な室屋は気持ちを切り替え、この経験を生かし飛行スキルをさらにレベルアップさせたいと固く決意している。

アスコット大会には、今までの大会とは異なる点がある。それは、今シーズン初めて陸上で行われるレースであるという点だ。そしてパイロットには、周囲の風景から視覚上の手がかりが与えられる。広い海上ではこうした手がかりは無いに等しい。

その視覚上の手がかりは、レース中最高速度時速370km、最大負荷10Gに達する条件下で飛行機を操るパイロットたちにとって、貴重な助けになる可能性もあるが、反対に妨げとなりロスタイムにつながる可能性もある。

~室屋コメント~
「アスコット大会のレーストラックは、実にチャレンジングです。しかし、いつもとは違うトラックで、何よりも会場が素晴らしいので、フライトが待ちきれないですね。私のマシンは、直線のトラックでは他の早いマシンに追いつけるほど速くありませんが、ターンがあれば私に勝ち目が出てきます。今回はターンの多いタイトなトラックなので、私に有利に働き、よいチャンスを与えてくれるはずです。」




Limex Images/Red Bull Content Pool

Monday, August 4, 2014

第5戦 イギリス・アスコット戦に向けて

こんにちは。

いよいよ来週末は、レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ2014
第5戦イギリス・アスコット戦。

機体は、ポーランド戦が終了した翌日、3機づつの編隊を組んで、途中、
ドイツ~オランダで燃料給油しながら、ドーバー海峡を渡り、
その日のうちにUK入りして、次のレースに備えます。

アブダビ、クロアチア、マレーシア間など、開催地間に距離がある場合は、
レースが終わるごとに機体を分解してコンテナに詰め、大型のジェット機で
次のレース開催地まで送るのですが、

ヨーロッパ圏内やアメリカ国内を転戦する場合は、こうして次の地まで
選手自身やパイロットの資格を持つチームコーディネーター
(チームによってはテクニシャン)が機体フェリーすることがほとんどです。

(オランダの空港で。
給油しつつ、イギリスに渡る途中経路の天候回復を待っているところ。
機体見学に人がたくさん集まってきました)


今シーズンも折り返しとなる第5戦目のレースの舞台となる“アスコット競馬場”は、
近代競馬発祥の地・英国の中でも特に歴史が長く、王室が所有することでも有名な、
格式高い競馬場です。


初の競馬場内での開催ということもあり、どのようなレイアウトになるのかも
注目の一つだったレーストラックも発表されました。



コースは、グランドスタンド前の直線コース上に敷設された臨時滑走路から飛び立ち、
アスコット競馬場の特徴でもある三角形の敷地の1コーナーに沿うようにレイアウトされた
レーストラックをU字型に周回する独特の設定になっています。

レースの他、サイドアクトでは、イギリス空軍のアクロバットチーム・レッドアローズや、
ブライトリング・ウィングウォーカーズなども演技を披露することになっており、
イギリス国内でも今年最大の航空イベントとして非常に注目されているそうです。


17日(日)の本レースの模様は、インターネットでの生中継もあります。

夜遅い時間ではありますが、日本からも是非、ご観戦ください!





Friday, May 16, 2014

レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ 第3戦 マレーシアラウンド パイロットストーリー

Red Bull Air Race World Championship(レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ)に参戦した初のアジア人パイロットである室屋は、ちょうど一ヶ月前のクロアチアの大会で念願の表彰台に上った。

そして今、プトラジャヤの大会を週末に控え、室屋は準備に余念がない。
今までに増して自信と確信に満ちた室屋義秀を追った。


プトラジャヤ(マレーシア)– 今まさにホットな男、“Yoshi”こと室屋義秀
それはマレーシアの都市、プトラジャヤの気温が30度だからだけではない。

2009年にRed Bull Air Race に初参戦して以来、才能あふれるパイロットである室屋は、技術のレベルアップに努めてきた。

そして今年の4月、ロヴィニ大会で見事3位入賞を果たし、念願の表彰台を獲得した。

その室屋に今一番必要なもの、それは勢いである。 


今回初めてマレーシアで行われることになった世界で最も速いモータスポーツ・シリーズ。

プトラジャヤ大会は、開催国7カ国、全8大会からなる今年のシリーズの中では第3戦にあたる。

現在ランキング4位で、マット・ホール(オーストラリア)とタイにつけている室屋。シーズン終了時に表彰台に上るためには、残りの大会を戦い抜いて行かなければならない。

そのためにはまず日曜日のプトラジャヤ大会。そのプトラジャヤでは、パイロットと機体ともにスタミナが一つの課題になるだろう。


10Gに達する負荷と戦いながら完璧なランを目指すことは、パイロットにとってまさに体力勝負である。

パイロットは、空調のないコックピットの中で熱帯の暑さと戦いながら、少しでもスピードアップを図らねばならない。

その飛行機のパフォーマンスも、温度と湿度から影響を受けることは必至である。


とは言え、福島出身41歳の室屋にとって今回の大会にはメリットも多い。

東南アジアで開催されるので時差が少なくて済む。

それにプトラジャヤ湖の大会では熱い応援を期待できる。

「妻がここで観戦してくれます。友人の多くも一緒に観戦してくれる予定です。ロヴィニ大会を終え、いろいろうまく行っている感じですね。」室屋はそうコメントした。 

初のアジア開催、室屋の健闘が期待される。



画像: Joerg Mitter, Balazs Gardi, Samo Vidic, Predrag Vuckovic

Sunday, April 13, 2014

【第2戦・続報】 表彰式後の室屋コメント

レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ第2戦
室屋3位入賞・初ポイントも獲得!



Samo Vidic/Red Bull Content Pool

◆室屋コメント

表彰台に乗った時の気分は最高でした。

最初は実感がなかったんですが、表彰台に乗ってシャンパンファイトをして、段々と実感が湧いてきました。最高なレースでした。

これまでに積み重ねて来た・風への対処などのトレーニングがうまく機能したんだと思います。

(休止期間中も)トレーニングは多く積んで来たので、その分の成果が少し見えて来たように思います。

チームの体制としては、機体がV2ということで、まだまだ厳しい状況が続くと思いますので、これからも機体の改良も含めて、自分のパイロットスキルを更に高めて行かなきゃいけないなと思います。

表彰台に乗るのは本当に夢でした。

ここに乗りたいと思って20年も頑張ってきましたので。本当に嬉しい瞬間でした。

でも乗ってみるとまた次があって、また更に上があるので、また、トレーニングを重ねて、一歩でも更に上に行けるように頑張りたいと思います。

次なる目標は勝ち続ける事なんですが、ここに来るまでは僕一人の力ではなく、何千人もの人の支援があって、その方々の声があって、表彰台に乗らせてもらったわけです。

そんな、応援してくれる人達もハッピーに出来るように、更に頑張りたいと思います。

Posted by Team MUROYA Racing

【速報】 レッドブル・エアレース・チャンピオンシップ 第2戦 公式結果

室屋義秀、初の表彰台!
2戦クロアチア・ロヴィニ戦で
アジア人パイロット初 3位入賞の快挙を果たす

413日(日)、レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ第2戦がクロアチア・ロヴィニで行われ、アジアから唯一参戦している室屋義秀が、絶対王者のハンネス・アルヒ、ポール・ボノム両選手に次いで3位入賞を果たす快挙を成し遂げました。

Photo by Samo Vidic/Red Bull Content Pool

ボーラと呼ばれる独特の季節風が吹くレーストラックは旧市街の湾内に浮かぶタイトなコースは、1周目(ラップ1)と2周目(ラップ2)が逆向き飛行となる往復コースとして設定されており、風への対処がポイントとなる非常に難しいレイアウトでした。

TOP 12で他の選手たちが次々とパイロンヒットする中、室屋は落ち着いた飛行を見せ、初のSuper 8進出を果たすと、同ラウンドでもトップのハンネス・アルヒ選手との差を1秒以内に抑え、レース3シーズン目にして初のFinal 4へ進出。

全ラウンドにおいて終始、ペナルティなしの安定した飛行を見せた室屋は、Final 4ラウンドで初戦(アブダビ)4位のピート・マクロード選手を0.13秒差で抑え、見事3位入賞を果たし、念願の初のポイント(7ポイント)を獲得しました。


Final 4 Result

優勝 ハンネス・アルヒ(オーストリア)
2位 ポール・ボノム(英国)
3位 室屋 義秀(日本)
4位 ピート・マクロード(カナダ)
5位 ニコラス・イワノフ(仏)
6位 マーティン・ソンカ(チェコ)
7位 マット・ホール(オーストラリア)
8位 ナイジェル・ラム(英国)
9位 ピーター・ベゼネイ(ハンガリー)
10位 カービー・チャンブリス(米国)
11位 マイケル・グーリアン(米国)

photo by Jörg Mitter/Red Bull Content Pool

Posted by Team MUROYA Racing

Saturday, April 12, 2014

第2戦・クロアチア ロヴィニ トレーニング・ハイライト

ロヴィニ・レーストラック解説

レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップのレーストラックは、各ロケーションによってそれぞれ独自の難問があります。クロアチア・ロヴィニも例外ではありません。厳しいGに抗い、はたまたアドリア海沿岸の強い風と戦いながら、パイロット達は集中して、レースにおいて有利な状態を維持することが必要です。

2014年シーズン第2戦は、画趣をそそる海辺の町ロヴィニで、今シーズン初のヨーロッパ開催を迎えます。レーストラックは旧市街に近い北の海岸沿いに設置されており、観客をはらはらさせるような急旋回の数々や高Gが特徴となります。



元レッドブル・エアレースパイロットであり、現レースディレクター兼トレーニング責任者のスティーブ・ジョーンズは、パイロット達が覚悟すべき事柄を次のように語ります。
「ロヴィニのファーストコーナーはタイミングがカギだ。ターンが早すぎればコーナーの途中で修正を入れなければならず、遅すぎれば超高負荷のGがかかってしまう。どちらも速度減少とタイムロスにつながる」

シケインの後にパイロット達は高負荷Gのターンを始め、そのまま第3エアゲートを通過し、第4ゲートへ向かいます。そこから彼らは第5、第6エアゲートをタイトなS字の操縦を行いながら通らなければなりません。「このセクションには計画性が必要だ」とジョーンズは続けます。「第4エアゲートを間違ったラインで通過したりターンが遅すぎれば、第5エアゲートを水平で通過するのが難しくなるし、さらに悪い場合、第6エアゲートから完全に逸脱するリスクもある」

ラップ1は、身体的な準備とピンポイントな精度を必要とする・胃が縮むようなバーティカルマニューバーで終了します。「パイロット達は、エアゲートの直前で翼を通過させるための充分な余裕を作るため、そして観衆の上空を飛行するのを避けるため、わずかに右にターンしなければならない」「そしてすぐさま彼らはまた操縦桿を引き、シートに押さえ付けられながら、身体にかかる10Gもの荷重と戦わなければならない」

Gが緩んでから秘訣となるのは、トラックを逆向きに飛行するラップ2の前に、第8エアゲートの出口となるポイントを可能な限り早く見つける事になりそうです。

ロヴィニのレーストラックは、ほとんど予兆もなしに吹く可能性のある激しい季節風・ボーラ(特に冬にアドリア海で北または北東から吹き下ろす風)の脅威に常にさらされています。「風に確実に対処していくのは困難だろう」とジョーンズは語ります。パイロット達は、風を予測し、細かな補正を行わなければ、吹き降ろすブーラに流されるままになってしまうでしょう。パイロンヒット、イコールそれはゲームオーバーを意味します

初開催の地で、目の覚めるような展開になることが予想されるクロアチア・ロヴィニ戦はいよいよ本日(12日)午後から予選が行われます。翌13日の本戦ではインターネット生放送も予定されています。
Saturday, April 12th/412日(土) *日本時間
18:00 Training MASTERs
19:15 Training CHALLENGERs
19:45 Qualifying MASTERs
23:25 CHALLENGER CUP
24:45 Winner Ceremony
Sunday, April 13th/413日(日)*日本時間
*インターネット生中継
21:35 Opening Show
22:45 RBAR MASTERs - Top 12
23:45 RBAR MASTERs - Super 8
24:15 RBAR MASTERs - Final 4
24:45 Winner Ceremony      
是非ご覧ください!

Photo by Andreas Langreiter RBAR


Posted By Team MUROYA Racing

Sunday, March 2, 2014

The Red Bull Air Race Championship Season Opening Results

After a three-year hiatus, the Red Bull Air Race World Championship has returned. Before the eyes of 100,000 spectators under the blue sky in Abu Dhabi, the most exciting three-way battle unfolded.


(c)Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool


Race track preview (video) is available here.

Qualifying Rounds

Each pilot flew two laps of the course twice for time attack. Faster time decided the opponent in TOP 12.

Muroya hit a pylon during the first attack. He was under high pressure for the second attack but made it well. He placed 9th in the qualifying flights and proceeded to the final.

The Top 12 Round

Starting this season, a new race format is being used. Two pilots are matched up against each other to compete head to head in six heats, based on their performance in the qualifying rounds.

Muroya (9th after the qualifying round) competed against Hannes Arch (4th after the qualifying round) in Heat 3. A knock-out system was used in the Top 12 Round. Although Muroya flew without making any huge mistake, his opponent, the 2008 champion Hannes Arch, flew his best time and defeated Muroya.

Among the pilots who lost in their heats, the two that were the fastest can move forward to the Super 8. 

Muroya barely missed being a “fastest loser” by 0.24 second and was unable to make to the Super 8. He finished 9th overall in Abu Dhabi. 


Muroya’s Comment

Although he did not make to the Super 8, Muroya nevertheless had a crisp, skillful performance from beginning to end in front of huge audience after having a three-year interval. Despite the unsatisfactory results, he was undaunted after the race.

“Hannes flew his best time, and I was not able to surpass him,” said Muroya. “I didn’t achieve my best time, and, unfortunately, I missed the Super 8. Battles are strenuous in the Red Bull Air Race. Once again, I’ve realized that I can’t win unless I keep pushing myself even in the smallest moments. By analyzing engine data, I should be able to figure out why I got behind other pilots. I will improve my flight performance drastically in the next race in Croatia. Having finished the first race of the season, I just want to thank my fans in Japan. There are seven races still left in this season, so please keep watching!”

・・・・・

Race highlights video is available here.

Posted by Team MUROYA Racing


Saturday, March 1, 2014

レッドブル・エアレース・チャンピオンシップ開幕戦 結果

レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップが3年ぶりに復活し、10万人の観客が見守るアブダビの青空の下、興奮極まる三つ巴の闘いが繰り広げられました
(c)Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

*レーストラック・プレビュー(動画)はこちらからご覧いただけます。


予選ラウンド

各パイロット共にコースを2周するアタックを2回行い、速い方のタイムで決勝1回戦・トップ12の組分けが決定。

室屋はアタック1回目でパイロンヒットし、2回目のアタックにプレッシャーがかかりましたが、落ち着いて周回し、9位で決勝に進出。



トップ12ラウンド

今シリーズから新しいレースフォーマットが採用され、予選の成績によって選手は2名ずつ・6ヒートに分かれ、Head to Headで対戦。

予選9位だった室屋は、Heat 3で予選4位のハンネス・アルヒ選手と対戦。

ノックアウト形式で行われるトップ12ラウンドで、室屋は大きなミスはなかったものの、対する2008年チャンピオンの強敵・ハンネスアルヒ選手は、それまでのベストライムをたたき出し、あえなく敗戦。

各ヒートの敗者のうち最も速かった2名がスーパー8に進出できるFastest Looser枠もわずか+0.24秒という僅差で逃し、スーパー8進出ならず。9位で初戦を終えました。

室屋コメント

惜しくもスーパー8進出は逃しましたが、3年ぶりのレースで終始、大観衆を前に器用で歯切れのいいパフォーマンスを披露した室屋は、レース終了後、不満足な結果にも毅然した態度を見せ、「ハンネス選手がそれまでのベストタイムを出し、それに対して勝つことが出来ませんでした。自分自身もベストのタイムが出たわけではないので、残念ながらスーパー8に勝ち上がることができませんでした。

レッドブル・エアレースは本当にシビアな戦いなので、本番でささいなところでも勝負をかけていかないとなかなか勝ち上がれない事を改めて実感しました。エンジンデータを分析すれば、遅かった原因が判明するはず。次にクロアチアで開催されるレースでは、飛行パフォーマンスを徹底的に改良していきます。

初戦を終えた今は、とにかく、日本のファンにありがとうと伝えたいです。まだ7レース残っているので、見ててください!」と語りました。

・・・・・

*アブダビ戦ハイライト映像はこちらからご覧いただけます。



<アブダビ戦・成績>




*4位のマット・ホール選手はファイナル4ラウンドでパイロンヒットし、DNF
*12位のマイケル・グーリアン選手は、トップ12ラウンド直前に起きた機体のエンジントラブルによりフライトできず、DNS

Thursday, February 13, 2014

Team Introduction チーム紹介

◆パイロット

室屋 義秀(むろや よしひで)
1973127日 福島県福島市在住 奈良県生まれ

Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

アジア人として初めて、そして唯一レッドブル・エアレースに参戦している“Yoshi(ヨシ)”こと室屋義秀の名は徐々に広まりを見せている。2014年、彼は自身3度目のレースシーズンに向けて、地元福島からまさに今飛び出そうとしている。

室屋のレース参戦が始まった2009年。彼はピート・マクラウド、マット・ホール、マティアス・ドルダラーら4人のルーキーのうちの一人であった。しかし、スティーブ・ジョーンズのコーチを受けるや否や、彼は急速に、かつ順調にレースパイロットとして変貌を遂げていった。

デビューの年は控えめな結果が大勢を占めたにもかかわらず、室屋は最終戦のスペインにおいて6位と言う素晴らしい結果をいきなり手中に収めた。これは優勝者であり2度のワールドチャンピオンに輝いたポール・ボノムまでわずか2秒未満と言う記録である。


Cameron Spencer / Getty Images for Red Bull Air Race 

毎レース前に、室屋は仏教の瞑想術である座禅を取り入れた練習を行い、肉体と精神を落ち着かせている。これにより彼は自身の操る飛行機のポテンシャルを最大限に活用する集中力を発揮する事が出来るのである。

「レッドブル・エアレースはスピードを競うモータースポーツで、純粋なエアロバティックスとはだいぶ違う。だからパイロットも観客もわくわくする。レースは常に接戦。パイロットとしてレースを飛ぶのはとても楽しいし、特別な体験です。同じ経験ができるパイロットはそう多くはない」

室屋はポール・ボノムの無駄のない優雅な飛行スタイルに憧れているとも語り、精神面と併せ、レース中の高いGにより上手く対応できるよう肉体を鍛え続ける努力を惜しまない。

レースを行っていない間も、室屋はエアショーやトレーニングを通じて自身の操縦技術を磨いている。これまで18年の曲技飛行歴と200を超える無事故のパフォーマンスの中で、常に高いレベルのコントロールと曲技操縦技術を誇っている。

Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool



◆チームコーディネーター

ロバート・エリック・フライ
1952214日 オークランド ニュージーランド生まれ

Photo by Taro Imahara/TIPP 

ロバート・フライはニュージーランドの首都オークランドで生まれ育つ。

幼少の頃からヨットセーリングを開始し国内選手権では18歳にして優勝を成し遂げる。高校卒業後は2年間工業技術を専門に学び21歳で日本に留学した。

1973年より東京で食料関連の輸出入やヨット、その装備品の販売の職を得て働きはじめる。
特に自動車のセンサー部やヨットのフィッティングに使用される特殊合金の輸出入に精通し、その経験がエアレースにおいても生かされている。 上記勤務と同時にアドミラルカップなどのヨット外洋レース世界選手権にも数多く出場し、操舵手や船長としてその名を轟かせた。日本国内ではマッチレースで4度の総合優勝をかざっている。

19921995年の間は、ヨットレース最高峰のアメリカズカップではニッポンチャレンジチームを主導し、操舵手/ナビゲーターとしてレースに参加。引退後は“ショア・ボス”といわれる総監督として名手クリス・ディクソンを船長にむかえる手配などしてチームを強化し、また船体の整備や各種手配まで広範においてチームを支え6カ月間をサンディエゴで過ごした。

サンディエゴ滞在中の1992年に、飛行機の操縦免許を取得。自ら自作した機体で免許を取得し同時にエアロバティックスの訓練も開始。 2001年には日本で室屋とともにエアショー活動を開始し、2003年にはスホーイ29型機を導入しその活動を本格化した。

現在はニュージーランド在住。ニュージーランド国内でのエアショーをはじめ、フォーメーションチーム“エアバンデッツ”のチームリーダーとしてスホーイやヤク機を駆って世界中で活動を続けている。流暢な日本語を話し、日本人のワビサビを深く理解する。


◆テクニシャン

西村 隆(にしむら たかし)
196711日 米国・レッドランド在住 鹿児島県生まれ

Photo by Taro Imahara/TIPP 

カーレースの最高峰「Formula1」に熱中しレースカー整備士への憧れをいただいて幼少期を過ごす。

整備士について色々と調べていく中で高度技術の結晶である飛行機の整備士を目指し資格取得に向けて猛勉強を開始。自ら試験飛行などを行える本格的な整備士を目指すため、まずはパイロット操縦資格の取得を目的に1988年に初渡米。その期間にアメリカの航空機事情を視察し航空整備士への決意を固める。

帰国後は日本で整備学校へ進学予定だったが、航空先進国アメリカで整備を学ぶことを決意し、カリフォルニア州コロナ空港内で勤務の傍ら整備士資格を取得。

1994年から1997年は、カリフォルニア州レッドランド空港のフライトスクールにメカニックとして勤務するなど、資格取得後は整備士として幅広い経験を積み重ねていった。

その後、別事業をこころざし1年間日本に帰国したが、空への情熱はますます強くなり再度渡米。1999年より、カリフォルニア州のレッドランド空港にメンテナンスショップをかまえて、プライベートオーナー機・フライトスクール機などを中心に整備事業会社を運営している。



  Posted by Team MUROYA Racing/Red Bull Air Race